手術への決断
初診の時、ここまで重度の患者は見たことがないと言われました。
角度は180度以上で判定不能なほどの曲がり。片肺も押しつぶされていて、腰痛も側弯からということでした。
年齢的にもすぐ手術したほうがいいが、曲がりの状況からも相当な覚悟を持って決めて欲しいとも言われました。
私の中では答えはもう決まっていました
もちろん手術をしないことも選択肢の一つだが、今後もっと曲がって内臓も圧迫され、40代になったら酸素を持ち歩くことになるだろうと言われました。
次の外来までに考えておくように言われましたが、私の中では答えはもう決まっていました。
先生もおっしゃっていましたが、側弯症の医療技術の進歩はここ5年位で飛躍的に伸び、私のような重度の患者でも手術可能になったそうです。
しかし、治せると言ってくださった先生は初めてだったので、大変なことだろうと思いましたがすぐに決心がつきました。
検査、入院中のこと
ミエログラフィーという脊髄造影CTやMRIなどの検査を経て、頭にハローリングという輪を装着し、日中は重りを引っ掛けて背骨を牽引していました。
ハローリング
ハローリングは手術までに少しでも曲がりを良くすること、そのことにより手術がやりやすくなるという利点があり、曲がりの大きい患者に有用だそうです。
私は1kgの重りから徐々に重りを増やし、手術2週間前からは10kgの重りを掛け、約1ヶ月間牽引していました。牽引は食事やトイレなどは外しましたが、できるだけ長い時間牽引していました。夜寝る時も、ベッドに寝ながらの牽引です。
自由に動けないなどの不安もありましたが、その心配はすぐに消え牽引もすぐに慣れてきました。
2回の手術
曲がりが強いため、通常行われる後方固定術を2回に分けて行いました。
手術
1回目と2回目の間は1週間でしたが、その間は肺機能の低下により誤嚥からの肺炎などの危険性を考慮し栄養も点滴から摂り、ほぼ寝たきりのまま過ごしました。
痛みは背中全体にあり、息苦しさがすごくありました。
2回目の手術後
2回目の後、歩き始めたのは術後1週間してからだったと思います。
2週間近く寝たきりだったので、貧血、息苦しさがありました。痛みは肋骨を切った辺りの脇腹、矯正により伸ばされた骨盤の筋肉が痛みました。
歩行器の使用は2,3日でしたが、その後は1人でも十分に歩けるようになり、1週間後には退院できました。
皆さんの励ましに支えられました
入院してハローリングをつけ、2度も手術をし、辛かった事もありましたが、家族・友人・そして看護師さんや先生方のおかげで乗り越えられることができたと思っています。
そして入院中は同じ側弯症の患者さんと励ましあったり、世代や疾患の違う患者さんとも出会いたくさんの事を得た気がします。
退院後、復帰
180度以上はあると言われていた曲がりも80度近くまで矯正され、身長も8cm伸びました。
手術後の体の変化
右背中にあった大きなコブもないに等しい位になり、ウエスト部分のくびれも左右対称になりました。
背中には30cm近い手術の跡がうっすらとありますが、良くなった勲章のようにさえ感じます。
手術後の体調の変化
退院後も息苦しさや体の痛みはありましたが、約1ヶ月後には職場復帰をし、徐々に痛みも減って体も思うように動くようになりました。現在術後半年になりますが、ずっと抱えていた腰痛もなくなり術前以上に体の調子も良くなりました。
最後に
手術を受けようか悩んでる方もたくさんいらっしゃると思います。
私の場合、入院後の治療と手術が特に大がかりではありましたが、もう治らないと思っていた体がここまで良くなったこと、たくさんの人たちに姿勢が良くなったとも言われ手術を受けて本当によかったと思います。
そして今後の人生も今まで以上にもっと楽しめるのではないかと思っています。
手術をするかの決断は最終的にはご自身の判断になりますが、手術を受けるタイミング、治したいという強い気持ち、そして主治医の先生方を信じて決断して頂ければと思います。
長文になりましたが、私の体験談が同じ側弯症で悩んでいる皆さんに少しでもお役に立てれば幸いです。ご一読ありがとうございました。