側弯症の診察や手術ができる病院について

目次

はじめに

 

 

側弯症を診る診療科は整形外科になりますが、全ての大学病院の整形外科が側弯症の手術などの治療をおこなえる施設ではありません。

 

ここでは、側弯症の治療を考えている人やご家族の方などのために、側弯症の手術などの専門的な治療をおこなえる専門医及び病院施設についての説明をします。

 

下記は、実際に側弯症の手術をした娘さんの親御さんが経験した側弯症と診断された時のお話しになります。結局、娘さんは手術が必要になり病院を変えざるを得ない結果になりました。

学校の保健の先生からの手紙に、「側弯の疑いがあるので整形外科の受診をするよう」にと書かれていました。そして、急遽平日に仕事の休暇をとり急いで近くの整形外科のクリニックを受診しました。レントゲンを撮り側弯症と診断され、近くの整形外科クリニックから大きな病院の整形外科を紹介されました。

~中略~
まず装具を着けて様子をみること、、、外来の医師がその都度変わり、レントゲンによる経過観察のみでした。

~中略~
あとでわかったのですが、その病院では、他の大学病院から来ている専門の先生が1人だけでやっているものでした。

 

医師の専門を他の業種に例えてみると、スポーツ選手では、野球やサッカーなどの競技、そして、ピッチャーやキャッチャーなどのポジションで違いがあるように、整形外科医でも背骨、腕、足といった部位で専門が違い、さらに部位の中でも例えば背骨でも側弯症と脊髄での手術等を担当する医師は違います。

 

背骨の病気の椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの一般的な病気は、整形外科医で背骨を専門とする医師であれば治療を行うことができますが、側弯症の手術になると、更に専門的な知識や経験が必要とさ、側弯症の専門の医師が数名勤務している病院での治療が必要とされます。

 

側弯症の手術を施行する医師は、整形外科医で脊椎外科医であり、そして、側弯症を専門としている医師になり、全ての整形外科医で脊椎外科医が治療をできる病気ではありません。

 

患者の皆さんからは見えにくい医師の専門

 

 

 

整形外科専門医について

医師は、医学部を卒業してから初期研修医として医師全般の研修を行ったのちに、それぞれ専門とする診療科を選んで後期専門研修医として修業を積み数年後に専門医の認定資格を受けて晴れてその診療科の専門医となります。

 

整形外科専門医の更なる専門性

整形外科専門医の場合、背骨、腕、足、腫瘍といったサブスペシャリティーという専門性の道に進んでいきます。

 

家の近所の整形外科クリニックでは

整形外科専門医の先生が全般的な診察を行いますが、実際には、背骨、腕、足、腫瘍などの専門性でわかれており、足を専門としている医師が腰痛などの診察を行っている場合が通常であります。

 

大学病院などでは

例えば、大学病院では背骨、腕、足、腫瘍などの領域が分かれていて、患者の病気によって治療を担当する診療班及び医師が分かれていますが、クリニックや診療所では整形外科という枠組みのみになっています。

 

手術などを伴う専門の治療とは

要するに、整形外科のサブスペシャリストを網羅した医師はいません。整形外科医になってから、背骨、腕、足、腫瘍といった分野に分かれて、さらに、側弯症などの疾患の専門性を極めていきます。

また、側弯症のスペシャリストの権威のある先生だからといって、分野の違う足の専門的な知識もありませんし股関節などの手術などもできません。

側弯症の手術など専門的な治療を行える病院について

 

 

側弯症の病院選びで難しいのが

側弯症の手術を伴う治療で大きな有名な大学病院の整形外科だからといって、全ての病院が側弯症の治療及び手術をおこなえないというのが現状で、側弯症の発見時には、手術の必要もなく経過診察のみなので紹介された病院に通っていたり、側弯症の進行予想が難しいため最初から手術を念頭に入れた専門の病院を探して経過診察を含めた通院をすることが難しいことがあげられます。

 

側弯症の外来のみの病院
側弯症の有名な先生から調べて、外来を予約して受診してみたけど、実はその先生は昔は側弯症の手術をしていたけど今はご高齢なのか外来(レントゲン、MRIなど)診察のみで、手術が必要な場合は他の病院を紹介するという場合。

 

側弯症の手術施設のない病院
確かに、その先生は脊椎疾患の専門の先生で側弯症の学会にも所属している先生ではあるけれども、その病院では側弯症の手術ができる設備もなく手術を伴う治療はできない場合。

 

脊椎の専門のセンターがある病院だけど
側弯症は背骨(脊椎)の病気になりますが、その病院に脊椎治療専門センターが開設されていたとしても側弯症の手術ができる設備もなく手術を伴う治療はできない場合があります。

 

子供の側弯症をしっかりと治療している施設は非常に限られています
側弯症を大きく、子供の側弯症、思春期特発性側弯症、大人の側弯症と分けた場合、病院によって大人の側弯症、思春期特発性側弯症の治療はしているが、子供の側弯症を治療している病院は限られています。

 

指定自立支援医療機関の病院か?
自立支援医療・育成医療とは、18歳未満のお子さんが身体の障害を軽くしたり回復させたりする治療を行う場合に、医療費の一部を公費負担する制度で、側弯症は、ここで示されている肢体不自由の障害に含まれていています。そして、手術をする病院がこの自立支援医療・育成医療の指定医療機関として指定がされていないと、この制度を利用することが出来なくなります。

 

今通院している病院からの紹介の場合

病院というのは関連病院という系列があり、その関連病院の中から病院を紹介されたり、診察をしている先生の卒業した大学の病院を優先して紹介されることが普通とされています。

 

 

自分で病院を探してみる

 

 

紹介された病院以外からご自身で側弯症の病院を探して評価することも選択肢の1つとして考慮すべきだと思います。その病院の評価や地理的な問題など各個人によって要件が様々あると思います。

① 側弯症の専門のチームがあるか?
② 側弯症の手術経験は?
③ 指定自立支援医療機関か?

 

病院の調べ方

Googleでの「側弯症 名医」や「側弯症 病院」などの検索結果ですが、「???」という病院もヒットしているのが現状になります。

日本側弯症学会で紹介されている患者向けの HP の医療機関一覧から地域別で病院を探すことができます。

この医療機関一覧は、学会会員が勤めている病院とクリニックが掲載されているだけで、クリニックでは手術などはやりませんし、病院でも同じことが言えると思います。

 

① 側弯症の専門のチームがあるか?

日本側弯症学会の患者向け HP の医療機関一覧を参考にして、クリニックや診療所などを省いて、病院名から検索をして、側弯症に対しての情報を確認します。

 

② 側弯症の手術経験は?

①で検索をして、側弯症の手術件数などを公開している病院であれば、実際の経験値を確認できます。

 

③ 指定自立支援医療機関

側弯症の専門チームなどがある病院施設であれば、当然、この「指定自立支援医療機関」であると思いますが、この「指定自立支援医療機関」とは、自立支援医療・育成医療の医療費の給付を受けられる指定医療機関になります。この指定病院以外での治療費は自立支援医療・育成医療の給付を受けることができませんので注意が必要となります。

 

自立支援医療・育成医療の対象になるのは、一定の障がいを有する18歳未満の児童で、所得区分によって月額の負担上限があり、原則、医療費の1割を負担する制度になります。

 

自立支援医療・育成医療の助成を受けるためには、自立支援医療受給者証の交付を受ける必要があります。そして、助成を受ける病院などを指定する必要がありますので、事前に利用予定の医療機関を決めておく必要があります。

「指定自立支援医療機関」の確認方法は、お住まいの市区役所の自立支援医療の福祉係りなどで確認することができます。

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