はじめに
私が自分の病気のことを知ったのは中学1年生の4月、学校での年度初めの健康診断で「特発性側弯症の疑いあり」と健康手帳に書かれたことがきっかけでした。
整形外科で見てもらう
何のことかもわからず、すぐに近所の整形外科を訪れました。そこでレントゲンを撮り、目にしたのはS字形に曲がった自分の背骨。
「コルセットによる矯正は難しいでしょう」と言われ、紹介していただいたのが慶応病院でした。
専門の病院を紹介され
そして松本先生に診察していただいた結果、背中から金属を入れて背骨を固定する手術をすることになったのです。
出来るだけ曲がり方が進まないうちの方がよいということで、学校が夏休みに入るのを待たずに手術していただくことになりました。
中学校生活が始まったばかりで、部活動やいろいろな行事など楽しみにしていたところに起きた全く予期せぬ出来事でした。
手術
手術が決まってから1カ月少しの間に4回通院し、3回の貯血やCT、MRI、レントゲンなどの検査を行って手術への準備を進めました。
その間にも腰痛や頭痛が頻繁に起きるようになり、悪化しているのを感じていました。
入院について
入院は手術の2日前でした。同室になった高校生と大学生のお姉さん達とはすぐに仲良くなり、入院生活が楽しく始まりました。
翌日には、先生方が手術について模型を使いながら詳しく説明して下さいました。
どのような事をするのかよく理解できたことで、手術に対する怖さよりも、曲がった背骨を治していただける嬉しさと期待の方を感じるようになりました。
「大丈夫です!」という先生のお言葉を聞いてとても安心し、手術中はおまかせして眠っていればよいのだと思えました。
手術当日
いよいよ手術当日、手術室へ向かう少し前に麻酔の導入剤のシロップを飲むと眠ってしまいました。
一度起こされて両親と「行ってきます!」「頑張ってね!」と言葉を交わしたそうなのですが、覚えていませんでした。
手術室で麻酔をした時の事は記憶にありますが、次に目覚めたのは術後の集中治療室の中でした。その後の記憶はなく 、気が付くとまた別の病室にいました。
やはり入院中一番つらかったのは術後の痛みです。痛み止めを点滴の中へ入れるためのボタンを沢山押していました。
術後の辛かったときと役にたったこと
食事について
術後1、2日は食欲がなく、ゼリーくらいしか食べられなかったと思います。食べるためにベッドで起き上がることが痛みで難しかったからです。
人生で食べることが嫌になったのはあの時だけだと思います!
辛い時は
誰かと話したりテレビを見たりなど、気を紛らわせることのできない夜中は、余計に痛んだ覚えがあります。起き上がることのつらい数日間は、音楽プレーヤーやDVD、本などがとても役に立ちました。
術後の回復の経過
日に日に、体についていた色々な管が外され、痛みも少しずつ和らぎ回復していくにつれ、歩行器を使って歩いたりリハビリをして過ごしました。
病棟に入れず入院以来会えなかった小学生の弟や学校の友達に手紙が書けるまで起き上がっていられるようになると、食事の時間も楽しみに変わっていました。
退院の頃について
そしてトイレへも歩行器なしで行けるようになった頃、退院が決まりました。
退院前に見せていただいたレントゲン写真には、くっきり浮かび上がった金属の棒と一緒に真っ直ぐに伸びた背骨が写っていました。
『どうしたらあのカーブがこんなに真っ直ぐになるのか、数時間でこんなことの出来る先生はすごい!!』と感激したのと同時に、感謝の気持ちで一杯になりました。
同室のお姉さん達よりも先に退院することを心苦しく思いながら、約2週間の入院生活が終わりました。