24歳での側弯症手術を経験して
側弯症の発覚
私が側弯症と診断されたのは、中学1年生、13歳の春でした。
診断当初は30度のS字の側弯症。
どんな病気か、将来的にどうなるのかよく分からぬままコルセットを作り、24時間365日のほぼ毎日、装具と一緒に暮らしていた記憶があります。
中学、高校の6年間はコルセットをつけることに何の抵抗もなく、素直に装着していましたが側弯の進行を遅らせることはできても止めることはできず高校卒業時には50度になっていました。
手術への決意
6年間の経過観察を経て、側弯の進行度合いも少ないことから、コルセットなしの生活が始まりました。
コルセットをはずすことで、開放感はあっても側弯が進行する恐怖は拭えませんでした。
実際、1年に1度くらいのペースでS字カーブは進行していたようですが、手術に伴い危険がおこるかもしれない不安や体に傷跡をつけたくない思いで手術は断固拒否していました。
しかし、社会人として働くようになった頃から、側弯からくる腰痛に悩まされました。
さらに少しずつでも進行しているカーブの現実が将来への不安を煽りました。
これから、社会生活をおくる上で、側弯症と一緒に生活を続けられるのか。
出産への悪影響は…?老後はどうなるの…?
こんな思いがループする中、兼ねてより通院していた慶應大学病院の松本先生のもとでの手術を真剣に考え出しました。
松本先生のお話ですと、手術をするなら、骨の柔軟性から考えて10代の頃の方がいいが、今からでも遅くはないとのこと。
20代での手術は、骨の柔軟性が少ないため矯正力に欠けたり、骨のつきが遅いなど手術後の回復に時間がかかると言われましたが、このタイミングを逃すことはできないと思い手術を決意しました。
手術体験記
入院前は、手術の3日前でした。
入院前は自己血やGT、MRIの撮影などがありましたが、入院前日まで普通に仕事をしていたこともあり、手術をするのは他人事のようで入院後もなかなか実感がわきませんでした。
入院後は、1日目―レントゲン撮影、採血。
2日目―麻酔検査。3日目―手術に備えた下剤の投入など。
このような慌しい日程をこなし、4日目、ついに手術当日を迎えました。
少し緊張はしたものの、麻酔をかけられ気持ちよく眠りにつき、7時間後、目覚めたときには手術が終わっていました。
手術前は60度あったカーブが20度に、身長も4cm伸び、ウエストも左右対称、右のお腹の肋骨の出っ張りもなくなり大成功でした。
手術後の回復もかなり早く、術後2日後には歩行器を使って歩き、洗面や身の回りのことは一人でできました。
4日後には装具の型取りを行い、1週間後の装具の出来上がりをまって退院することにしました。
回復はかなり順調で、激痛が走ることもありましたが、1日1日痛みがなくなるのが実感でき、日々回復していくことが楽しいとさえ感じました。
約2週間の短い入院生活でしたがすべてが初体験のことばかりでしたので、毎日が新鮮で辛い思い出は残らなかったように感じます。
先生や看護師さん達も気さくでやさしく、何かと気づかってくださいました。
違う世代の患者さんとの出会い、また、社会人になってから纏まった休みをとることがなかったので、入院生活はかなり有意義なものになりました。
最後に
手術後1カ月を過ぎた頃から社会復帰をし、現在は6カ月が過ぎようとしていますが、日常生活の不便さは全く感じていません。
また、当初、気にしていた傷跡は、背骨の窪みにうっすら一本の線がある程度で何の違和感もなく、側弯からくる腰痛も解消されました。
手術をするにあたり、悩んだ期間は長く、踏み切るまでにかなりの年月を要しましたが、結果的には手術をすることでのプラス要素の方が多く大変満足しています。
手術をするかしないか、決めるのは自分の意思になりますが、主治医となる先生を信じて、また自分の将来も視野にいれ、決断していただけたらと思います。
私の経験談がご参考になれば幸いです。ご一読ありがとうございます。